STORY 03
独居老人・孤独死という
社会問題のリスクを回避する
日本は現在、4人に1人が高齢者。2060年には2.5人に1人が65歳以上の超高齢化社会になることが予測されている。
高齢化は少子化よりも目前に迫った大きな社会問題だ。
医療費や介護給などの増加はもちろん、私たちが最も深刻に捉えているのは、独居による孤独死の問題だ。
この問題にどう向き合うのか。
介護施設を開設する。いや、短絡的すぎる。それでは根本的な解決にはならない。
孤独死は介護が必要な世代ではなく、60代〜70代に多く起こる問題だからだ。
自治体も手を打っていないわけではない。
新聞や郵便物の溜まり具合、電気やガス・水道の使用状況、民生委員や自治体職員の家庭訪問など、様々な対策を講じている。
しかし、これらの施策はあくまでも付け焼刃の対応策に過ぎない。
この問題は、もちろん社内でも話題にあがった。
議論を交わすが、これといった解決策がすぐに見つかるわけではない。
当然だろう。国としても打開策を見つけられていない問題だからだ。
きっかけはとある社員のひと言だった。
「サッカーの子ども達は、初めてでも楽しくやって帰りますけどね。」
孤独死の一番の原因は、コミュニティに参加していないこと。
つまり、周囲にその人の日常を把握している人が極めて少ないことだ。
同居している身寄りがいれば…。つまり、核家族化が進行した顛末だと言い換えることもできる。
見守られるのではない。誰かが生活の様子を確認しに行くのではなく、自らがコミュニティに参加するようなコンテンツを用意すること。
それができればひとつの解決策にはならないだろうか?
私たちがやってきた子ども達への事業。子ども達の社会はひとつのコミュニティだ。
これを高齢化・孤独死という社会問題の解決に使えるのではないだろうか。
さらに、誰もができるスポーツ、身体を健康にするスポーツならば、医療費や健康寿命の問題も一度に解決できる。
これだ。
私たちはふさわしいスポーツを探した。
60代はもちろん、70代・80代でも楽しくできるスポーツ、運動神経によらないスポーツ。
見つけたのはノルディックウォーキングという北欧生まれのニュースポーツだった。
やるなら心も身体も、心身ともに健康になろう。
単純に寿命を延ばすのではなく、健康に、アクティブに生活できる期間、健康寿命を延ばそう。
生まれたのは健康の女神から名前をとった、ノルディックウォーキングクラブ カルナ。
ニュースポーツが故の認知度の低さや、社会保障制度との兼ね合いなど、さまざまな壁が存在している。
私たちだけの力でこの社会問題を解決することは難しいかもしれない。
しかし、このノルディックウォーキングクラブ カルナを通じて、地域社会との隔絶といった社会問題を真剣に考え、それらの問題に対しスポーツを通じて「地域の活性化」を図り、日本が抱える社会問題の解決に一石投じることができるだろう。
挑戦はまだ始まったばかり。
可能性を秘めた健康の女神たちは今日も活動を続けている。
ノルディックウォーキングクラブCARNA
2013年発足。現在、前橋・高崎・伊勢崎を中心とした群馬県各地で活動しています。会員の多くは50代~70代。独居による孤独死や地域社会との隔絶といった社会問題に対し、スポーツを通じて「地域の活性化」を図るべく立ち上がりました。
筋力トレーニングやストレッチングとノルディックウォーキングという新しいスポーツを取り入れ、心身の健康維持・増進をサポートすると共に、新しいコミュニティの形成に取り組んでいます。ノルディックウォーキングクラブCARNAが、日本が抱える社会問題の解決に一石投じることができると考えています。