STORY 05
障がい者雇用を促進し
三つの社会問題を同時に解決する
それは一通の手紙から始まった。
「障がい者クループホームを運営しませんか?」
独居老人の孤独死や高齢化へのアプローチをしてきた私達にとって、グループホームと言えば「認知症高齢者のための介護施設」で、高齢者のためのものだというイメージがあった。
障がい者のためのクループホーム、それは一体どういうものなのか?私達に運営できるのだろうか?
手紙の封を切り、読んでみる。
ペット共生型福祉施設が1つできるごとに、殺処分される犬・猫の命が必ず救われます。
そのメッセージには「私達がやらなければ、誰がやるんだ!?」という強烈なインパクトがあった。
手紙の差出主は「株式会社アニスピホールディングス」
「障がい者グループホーム」「空き家問題」「ペット殺処分問題」 の解決・貢献を目的とした日本初のビジネスモデルで、ペット共生型障がい者グループホーム、生活介護障がい者デイサービスなどを運営する企業だ。
ペット殺処分は最も深刻な社会問題の一つだ。
2018年度の年間殺処分数は犬・猫合計で約3万8千頭(犬7,687頭、猫30,757頭)。これは、一日に換算すると殺処分される犬・猫が105頭にのぼる。
もちろん社会問題に目を向けている私達にとっても殺処分問題は頭の片隅にあったが、良い解決方法が見出せない問題の一つでもあった。
ペット共生型障がい者グループホームは、障がいを持った方が動物と一緒に過ごすことのできるグループホームで、ペットと人にとっての福祉を追求している施設だ。
そして、この施設は「空き家」を使うことを推奨している。
この施設は障がい者のための施設であるだけでなく、ペットの殺処分と空き家という二つの社会問題を解決してくれる、まさに一石二鳥の事業だ。
手紙を読み終えるや否や、私は電話を手にしていた。
2020年8月のことだった。
そして2021年4月。
群馬県前橋市に「globeわおん」の最初の施設がオープン。
日本の障がい者総数は、790万人(平成23年) → 990万人(平成30年)と、7年間で125%増加している。
ただ、990万人のうち900万人は双極性障がい、発達障がい、ADHD、睡眠障がいなどの軽度の障がいだ。
今、日本では精神病院のベッド数削減と退院促進を推進している。
こういった軽度の障がいを持つ人から退院を促されるが、社会で生きていくにはまだ助けが必要になる。
毎年必要になるグループホーム居室数は約400,000人分。
その数はまだまだ不足している。
しかし私達の目標は施設の充足ではない。
私達の施設を利用し、全ての人が社会とのつながりを取り戻し当たり前に暮らせること。
ペットが身体的・精神的苦痛の緩和ケアに寄与し、空き家にによる犯罪リスクも減少する。
それが私達の目指すゴールだ。
私たちは大きな社会問題解決に向けての確実な一歩目を踏み出した。
globeわおん
2021年4月スタート。動物(パートナー)と共に「地域」で暮らすペット共生型障がい者グループホームです。軽度から重度の精神障がい・発達障がいの方の本質的自立をサポートし、社会へ躍進できる未来を共に描いています。
里親として引き取った殺処分前の犬や猫が入居者の「パートナー」として共に生活し、居住施設は空き家を積極的に利用しすることで、地域の空洞化や障がい者への偏見・ペットの殺処分・企業の雇用問題など、あらゆる社会問題に寄与するべく日々活動しています。